高血圧とは?

高血圧とは、血圧が持続的に上昇している状態です。
高血圧では、血管壁に無理な力がかかってしまうため、血管がダメージを受けてしまいます。
血管がダメージを受けると、血管がもろくなったり、動脈硬化がおこったりします。その結果、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、腎不全などの病気になってしまいます。
血圧が高くなっても、自覚症状はほとんどありません。
自覚症状がないところが、高血圧の怖いところです。
高血圧を治療する目的は、脳梗塞、脳出血、狭心症、心筋梗塞、腎不全などの高血圧の合併症を防ぐためです。

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血圧はいつ測るか?

家庭での血圧は、毎日一定のタイミングで測ることが必要です。少なくとも1日1回、できれば2回は測りましょう。


推奨度 測定のタイミング
午前 朝食前(起床後1時間以内)
午後
(夕方に降圧剤を服用の方)
夕食前
就寝前
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高血圧の治療

高血圧の治療は血圧降下剤による薬物療法、そして生活習慣改善による非薬物療法の2本立てで進められています。薬だけに頼るのではなく積極的な自分自身の生活習慣の改善が必要となってきます。


高血圧の治療

非薬物療法

■ 食塩制限

減塩1g/日ごとに収縮期血圧が約1mmHg減少するとの報告もあり、原因によらず、ほぼ全ての高血圧で塩分摂取制限は必須となっています。2006年の米国心臓協会(AHA)の勧告による食塩換算値の理想的な摂取量は3.8g/日とされましたが、日本では目標値として6g/日が用いられています。ここで注意したいのは、食品の含有量が食塩(塩化ナトリウム:NaCl)でなくナトリウム(Na)の表示の場合、2.5倍して塩化ナトリウムに換算する必要があることです。また、健康ブームに乗って「この天然塩はミネラル豊富なため多く摂っても高血圧にならない」などの宣伝が散見されますが、このような文言をうのみにすることは危険です。問題は食塩の質ではなく量にあるからです。


■ アルコール制限(節酒)

アルコールを摂取すると一時的な血管拡張により血圧は下がりますが、習慣的な飲酒は血圧を上昇させることはよく知られています。毎日の飲酒習慣は10歳の加齢に相当する血圧値を示します。節酒による降圧効果は、1〜2週間以内に現れると言われています。大量飲酒者は、急にアルコール制限を行うと血圧上昇をすることがありますが、節酒の継続により数日後から血圧は下がります。
エタノール換算量は、男性が20〜30ml/日(日本酒換算1合前後)、女性が10〜20ml/日、これ以下にするべきです。ですが、この程度でも高血圧に悪影響を及ぼしますので、アルコール摂取はなるべくゼロにすることが望ましいと言えます。なぜなら、アルコールの摂取量と高血圧 リスクの量は、統計的にはほぼ比例しているからです。

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血圧の目標値

血圧の目標値は、年齢や疾患によって異なります。下記の表を参考にしてください。家庭血圧の目標値は、おおむね診察室血圧より5mmHg低いと考えてください。


■ 治療目標値 

診察室血圧 家庭血圧
75歳以上の者 150/90mmHg未満 145/85mmHg未満
若年〜75歳未満の者
脳血管障害・冠動脈
疾患患者 
140/90mmHg未満 135/85mmHg未満
糖尿病・
慢性腎疾患患者 
130/80mmHg未満 125/75mmHg未満
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このような方が高血圧で受診されました!

《ケース1(白衣高血圧)》 43歳、女性。「健診で血圧が高い」と言われて来院。

初診時の血圧は160/94mmHgでした。痩せ型で親兄弟にも高血圧の方がいなかったので、約1ヶ月自宅で血圧を1日2回測定・記録してもらいました。その結果、自宅では平均120/74mmHgと正常でした。再診時に再度血圧を測ると152/88mmHgであり、白衣高血圧と診断しました。その後も薬なしで、自宅血圧は正常に推移しています。

《ケース2(過体重が原因の高血圧)》 54歳、男性。「頭痛と肩こりがひどい」ため来院。

初診時の血圧は144/102mmHgでした。身長170cm、体重86kgと中等度の肥満でした。過去5年で体重が11kg増えたので、運動とカロリー制限を継続してもらい、1年間で体重が10kg減りました(76kg)。再診時血圧は、体重が79kg時では138/94mmHg、76kg時では130/82mmHgと正常になりました。降圧薬は最初の数か月は服用しましたが、以後は薬から離脱することができました。現在も自宅血圧は正常範囲を維持しています。

《ケース3(治療を自己中断した高血圧)》 67歳、男性。「自宅での血圧が高い」ため来院。

別の医療機関に約6年通院していましたが、血圧の変動が激しいので当院で診てほしいと来院されました。初診時の血圧は174/98mmHgでした。標準的な降圧剤で血圧は1ヶ月ほどで130/85mmHg前後に落ち着きました。ところが1ヶ月分の薬を渡しても、受診の間隔が1ヶ月半〜2ヶ月と空いていき、ある日から通院を中断されました。その3か月後に、脳内出血で寝たきりになりましたとの連絡を某病院から頂くと言う、残念な結果になりました。

《ケース4(ストレスに起因する高血圧)》
 37歳、女性。「職場で緊張したり、ストレスがかかったりすると激しい頭痛がする」ため来院。

初診時はかなり緊張していて、血圧は148/82mmHgでした。緊張時およびストレス時に血圧を測定してもらうと、平均160/90mmHgありました。休日に自宅で血圧を測ってもらうと平均120/70mmHgと正常でした。抗不安薬の服用を始めると、そういう緊張時およびストレス時でも血圧が平均130/80mmhgに下がり、頭痛も消失しました。1ヶ月後の再診時には134/78mmHgに下がりました。現在も抗不安薬を適宜服用して正常範囲の血圧を維持しています。

《ケース5(季節変動が大きい高血圧)》 78歳、男性。「降圧剤を飲んでも血圧が一定しない」ので来院。

他院で降圧剤を服用していましたが、夏になると血圧が100/60mmHg位まで下がりふらつく事が多いそうです。主治医からはそのまま内服を続けるように指示され、不安になり7月に当クリニックを受診されました。初診時血圧は104/62mmHgと低く、降圧剤を減量しました。その後、夏季は130/70mmHg前後に安定しました。冬季は血圧が上昇するため降圧剤を増量し、140/80mmHg位になりました。その後は季節により適切に降圧薬を増減して血圧が安定しています。

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