不整脈とは?

不整脈とは、「脈がとぶ」「脈が乱れる」「ドキドキする」「フーッとなる」などと表現される異常な心臓拍動の状態を言います。


これには無害なものから重篤なものまで、さまざまな種類があります。実際には自覚症状と不整脈の重症度が一致しない場合が多く不安や恐怖心にかられる方が少なくありません。一方で不整脈は、循環器疾患の中でも診断・治療が難しく、医者泣かせの疾患でもあります。


不整脈についてお話しする前に、心臓の解剖を簡単にお示しします。右図のように、心臓内は四つの部屋に分かれていて上側を「心房」下側を 「心室」と呼び、それぞれ左右一対あります。


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不整脈の症状と種類

不整脈は頻拍性・正拍性・徐伯性の三つに分類されます。


・頻拍性(脈が100/分以上)
・正拍性(脈が100〜50/分の間)
・徐拍性(脈が50/分以下)


自覚症状 頻拍性 正拍性 徐拍性
口から心臓が飛び出る
心臓が踊る
どきどきする
発作性上室性頻拍
発作性心房細動
心室頻拍
(WPW症候群)
脈がバラバラである
動くと急に脈が速くなる
慢性心房細動
徐脈頻脈症候群
脈が飛ぶ
ドキンとする
上室性期外収縮
心室性期外収縮
フーッとなる
意識が遠のく
気分が悪い
心室頻拍
心室細動
(QT延長症候群) 完全房室ブロック
洞機能不全症候群
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不整脈の検査

不整脈の検査にはまず、心電図(12誘導、ホルター心電図)があります。ホルター心電図は重要な検査法です。丸1日の心電図波形を記録できるため、不整脈の種類や頻度、日常生活との関連(例えば睡眠中に見られるのか、運動すると出現するのか等)がわかります。
次に、心臓超音波検査(心エコー)は、不整脈を誘発する基礎疾患を調べるのに有用です。心臓弁膜症や心筋症、虚血性心疾患の存在、心機能、心疾患の重症度がわかります。
最後に、運動負荷検査(マスター二階段試験、トレッドミルテスト)は、心臓に負担をかける事によって不整脈が出現するか否かを観察します。その結果で、スポーツクラブ、ジムでのトレーニング、ジョギングなどの可否を判断します。


心臓の検査
(午前9時〜、午後4時半〜)
結果説明 検査料(3割負担) 検査料(1割負担)
心エコー 検査後すぐ 2,640円 880円
ホルター心電図 通常3日後 5,250円 1,750円
運動負荷検査
(マスター二階段試験)
検査後すぐ 1,530円 510円

※検査費用には、診察料や診療情報提供料などは含まれておりません。

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不整脈の治療

不整脈の治療

カテーテル・アブレーションは、太い静脈に管を数本入れて、不整脈の原因部位の心筋を焼灼する方法です。アブレーションの良い適応は発作性頻拍や心房粗動で約90%以上で治りますが、心房細動では60%程度の治療率です。
外科治療法には他に、局所麻酔下にペースメーカー(徐拍時)を、開胸術にて植込み型除細動器(心室頻拍・心室細動の時)を胸腹部皮下に埋込む方法があります。約8〜15年毎に電池交換の必要があります。

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このような方が不整脈で受診されました!

《ケース1》 74歳、男性。「最近心臓がゴソゴソする、歩くと動悸」がして来院。

心電図で心房細動がありました。心雑音が聞こえたので心エコーを実施した結果、心臓弁膜症がありました。ホルター心電図で持続性(慢性)の心房細動と分かり、脈を調節する薬と血栓予防の薬とを服用してもらい、現在病状は安定しています。

《ケース2》 61歳、女性。「突然動悸がする、胸が痛い」ので来院。

心電図や血液検査は異常なく、動悸を解明するためにホルター心電図をつけました。その結果発作性上室性頻拍と判明し、抗不整脈薬を服用して、症状はほぼ消えています。

《ケース3》 33歳、男性。「仕事中に脈が乱れる、急にドキンとする」ので来院。

心電図で心室性期外収縮が1回記録されました。心雑音が聞こえたので心エコーを実施した結果、僧帽弁逸脱症がありました。期外収縮の頻度や重症度を解明するために、ホルター心電図をつけました。その結果心室性期外収縮が頻発している事が分かり、心エコーの結果を踏まえて、数ヶ月間抗不整脈薬を飲んでもらいましたが、脈の乱れが消失したので、現在は薬をとめて経過をみています。

《ケース4》 43歳、女性。「胸がドキドキする」ので来院。

心電図はやや脈が速い程度で、心エコーでも異常はありませんでした。動悸を解明するためにホルター心電図をつけました。その結果脈は最高140/分まで増えていましたが、通常の脈が速くなっているだけ(洞性頻脈)であったため、交感神経の緊張によるものと判断しました。強く動悸を自覚した時だけ、精神安定剤を頓服するように指示し、その後はたまに薬をのむだけで動悸は減っています。

《ケース5》 77歳、男性。「急にフーッとなる、意識が遠のく」ので来院。

心電図では完全房室ブロックがあり、胸部レントゲンで軽い心不全があったため、ペースメーカー植込みの必要を考え、速やかに県立病院循環器内科に紹介しました。その後、永久ペースメーカーを植え込んだ後は元気に生活されています。

《ケース6》 16歳、女性。「学校検診で不整脈を指摘され、精密検査を希望」して来院。

心電図では心室性期外収縮が数回記録されました。中距離の陸上選手であったので、運動の可否を判断する目的で、心エコーとホルター心電図及び運動負荷心電図を実施しました。その結果、エコーで異常なく、他2つの精密検査では運動(負荷)時に心室性期外収縮が消えていました。陸上競技は許可しましたが、脈の乱れを頻繁に自覚する時は当院を受診するように指示しました。現在は、体育や陸上競技に支障なく、中距離選手として活躍しています。

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